RSI Multi Lengthとは、複数の期間(長さ)のRSIを同時に計算し、その平均値をオシレーターとして表示するTradingView用インジケーターです。
一般的なRSIは期間が固定のため、短期では敏感すぎたり、長期では反応が遅れたりしがちですが、本インジケーターは「最小期間〜最大期間」の範囲で複数のRSIを扱うため、短期〜長期の値動きをまとめて把握しやすいのが特徴です。
さらに、各期間RSIが買われすぎ・売られすぎにどれだけ該当しているかを割合として可視化し、その割合を使って平均RSIの買われすぎ・売られすぎ水準を状況に応じて調整する仕組みも備えています。相場が強い局面では買われすぎ到達のしやすさが変わり、弱い局面では売られすぎ到達のしやすさが変わるため、固定ラインのRSIよりも環境に合わせた判断を作りやすくなります。
RSI Multi Lengthの使い方
RSI Multi Lengthの中心となるのは「複数期間RSIの平均(Multi-length RSI average)」です。見た目は通常のRSIに近い波形で、相場の勢い(モメンタム)を0〜100付近のレンジで確認できます。ただし計算の土台が複数期間に広がっているため、極端に短期のノイズだけに振り回されにくく、かといって長期一辺倒で遅くなるわけでもなく、設定した期間レンジに応じてちょうど良い反応になりやすいのがメリットです。
まずは、平均RSIが上方向に伸びているのか、下方向に沈んでいるのかを確認し、モメンタムの方向性を掴みます。次に注目したいのが、買われすぎ・売られすぎの「割合表示」です。緑のエリアは、複数期間RSIのうち買われすぎ水準(Overbought)を上回っているRSIがどれくらいあるかを示します。赤のエリアは、売られすぎ水準(Oversold)を下回っているRSIがどれくらいあるかを示しますが、視認性のために反転表示されます。つまり、緑が強く出ているほど複数の期間で強い買いが継続している状態で、赤が強く出ているほど複数の期間で売りが優勢な状態です。
さらに、インジケーターパネル右上のダッシュボードでは、直近のバーにおける買われすぎ割合・売られすぎ割合が数値として確認できます。ここが実戦で意外と役立ちます。たとえば上昇トレンド中に緑の割合が高止まりしているなら、押し目が浅くトレンドが継続しやすい地合いと判断しやすくなります。一方で、買われすぎ・売られすぎの割合が低下してきた場合、短期的な反転や調整(リトレースメント)が起こりやすいサインになり得ます。強いトレンドが続いているように見えても、複数期間RSIの熱量が冷めてきたなら、エントリーを急がず、押し目待ちや戻り待ちに切り替えるといった意思決定がしやすくなります。
また本インジケーターの特徴として、この割合データを使って平均RSIに対する「適応型(Adaptive)の買われすぎ・売られすぎ水準」を構築する点が挙げられます。買われすぎ割合が高いと、平均RSIは買われすぎラインに到達しやすくなり、同様に売られすぎ割合が高い(=多くの期間RSIが売られすぎ)と、平均RSIは売られすぎラインに到達しやすくなります。固定の30/70だけで判断すると「ずっと買われすぎのまま」「ずっと売られすぎのまま」に見えてしまう相場でも、割合の情報を重ねることで、勢いの強弱や調整の入り方をより立体的に捉えられます。使い方の基本は、平均RSIの方向と水準を見つつ、緑赤の割合が増えているのか減っているのか、そしてダッシュボードの数値がどの程度かを併せて確認することです。これにより、単発のRSIシグナルではなく、複数期間の合意としてのモメンタムを根拠にした分析が可能になります。
RSI Multi Lengthのパラメーター設定

RSI Multi Lengthは、設定項目がシンプルでありながら、分析の性格を大きく変えられる構成になっています。まず「Maximum Length」は、計算に使用するRSI期間の最大値です。ここを長くするほど長期寄りのRSIが平均に含まれるため、波形は滑らかになり、だましは減りやすい一方で反応はやや遅くなります。次に「Minimum Length」は最小期間で、ここを短くするほど短期RSIが平均に強く影響し、初動の変化を掴みやすくなりますが、細かい揺れも増えやすくなります。つまり、MinimumとMaximumでどの時間軸の勢いをまとめて見るかを決めるイメージです。スキャル寄りなら短めのレンジ、スイング寄りなら長めのレンジに設定すると、チャートの見え方が自然に合ってきます。
「Overbought」と「Oversold」は、買われすぎ・売られすぎの判定に使う基準値です。一般的には70/30が使われがちですが、ボラティリティが高い銘柄やトレンドが強い局面では80/20のように広げた方が常に買われすぎ(売られすぎ)に張り付く状態を避けやすくなります。逆にレンジ気味で反転を取りたい場合は65/35など少し内側に寄せることで、シグナル感度を上げる選択肢もあります。本インジケーターは割合表示を伴うため、基準値を変えたときに緑赤の出方がどう変化するかが分かりやすく、調整しやすいのも利点です。
「Src」はRSI計算に用いる価格ソースで、通常はClose(終値)を使いますが、銘柄や戦略によってはHL2などに切り替えて滑らかさを優先することもできます。まずはデフォルトの終値で運用し、値動きが荒くて振り回されると感じたときにソース変更を検討するとスムーズです。
RSI Multi Lengthは、複数期間RSIの平均という中核の波形に加え、買われすぎ・売られすぎの割合という内部状態が見えるため、単純なRSIよりも判断材料が増えます。Maximum/Minimumで時間軸レンジを合わせ、Overbought/Oversoldで相場の性格に合わせた閾値を作り、緑赤の割合とダッシュボードの数値でモメンタムの熱量を確認する。この流れを作るだけで、RSIを「単発の逆張りサイン」ではなく「複数期間の合意に基づく相場判断ツール」として使いやすくなります。




