平均足は、トレンドの流れを読み取りやすくするために、ローソク足の描画ルールを変更したテクニカルチャートです。ローソク足に比べて陽線や陰線が連続して続きやすく、色変わりが起きづらいという特徴を持ちます。
しかし、通常の平均足を使用すると、だましが発生することがあります。だましに遭ってしまうと、トレンドが継続しているのにもかかわらずポジションを決済してしまったり、エントリーポイントを間違えたりするので、勝率が下がってしまいます。そのため、平均足のだましを回避する方法を知りたいという方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は平均足のだましを回避する方法をすべてご紹介します。だましを回避して勝率を高めたいという方は、ぜひ参考にしてください。
平均足のだましとは?
平均足のだましとは、トレンドが継続しているのにもかかわらず、平均足の色変わりが起きてしまう状態です。言葉では少し説明しづらい部分もあるため、まずは下記の画像を見てください。(※画像は、MT4標準の平均足を使用しています。赤が陰線、白が陽線です。もちろん、この記事ではMT4やTradingViewなどお使いのプラットフォームにかかわらず、だましを回避する方法を紹介します。あくまでも例としてMT4の平均足の画像を使用しているだけなので、だましを回避したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。)
下降トレンドの最中にもかかわらず、白枠で囲った部分に陽線が出現しています。これがいわゆる平均足のだましです。
一般的に、平均足のだましはレンジ相場に出現しやすいと言われることが多いです。しかし、上の画像を見てもらえばわかるように、MT4やTradingView、日本のFX口座提供のツールなどプラットフォームに関係なく、標準の平均足はトレンド相場でもだましが発生してしまうことがあります。
平均足のだましはトレンドの裁量に悪影響を与えてしまうため、『利益をできるだけ多く獲得したい』、『FXの勝率を高めたい』という方は、可能な限りだましを回避することが求められるのです。
平均足のだましに遭うとどうなる?
平均足のだましに遭うとトレーダーはどのような不利益を被ってしまうのでしょうか?この見出しでは、例を挙げながらだましに遭ったときのリスクについて解説します。
エントリーポイントを間違える
平均足のだましに遭うとエントリーポイントを間違えてしまいます。
平均足の使い方として、色変わりなどでエントリーするという方法があります。平均足はローソク足に比べて陽線や陰線が連続しやすく、色変わりは反転を意味するため、そこでエントリーすれば天底でポジションを持つことが可能です。しかし、平均足のだましに遭ってしまうと、まだトレンドが継続しているのにもかかわらず、そのトレンドと反対のポジションを持ってしまう可能性があります。
例えば、下記の画像では、下降トレンドが継続していますが、白枠部分で平均足のだましが発生しています。そのため、色変わりが発生している白枠部分でロングポジションを持ってしまうと大逆行してしまうため、大きな含み損を抱えることになります。
決済を早まってしまう
平均足のだましに遭うと、決済を早まってしまう可能性が高いです。
先ほどもご紹介したように、平均足はトレンドを可視化するインジケーターです。そのため、トレンドが発生すると陽線や陰線が連続して記録されるという特徴を持ちます。しかし、逆をいえば色変わりが発生すると一旦トレンドが終了したと考えることもできます。
例えば、上昇トレンド中に平均足が陰線で確定してしまったら、『一旦は押し目を作るのではないか?』と予測できます。そのため、現在持っているロングポジションを手仕舞いしようということになります。
しかし、平均足のだましに遭うと、トレンドが継続中であるのにもかかわらず、だまされてしまい決済してしまうことになります。例えば、下記の画像は上昇トレンド中に陰線が出現してしまっているため、色変わりで決済している方は、上昇トレンドの途中でポジションを一旦手仕舞いすることになります。しかし、その後に大きく上昇し、本来得るはずだった利益を逃す結果となるのです。
FXトレードでお金を増やすためには、リスクリワードを意識する必要があります。例えば、リスク1対リワード2のトレードを続けていたら、勝率が60%でもお金が増えます。しかし、逆にリスク2対リワード1のトレードを続けていたら、勝率が高いトレーダーでもお金は減っていくになるのです。
つまり、何が言いたいのかというと、平均足のだましに遭うと自然とリスクリワードが悪くなるため、勝ったときは少額で、負けたときの金額は高くなりやすいということです。コツコツドッカンを喰らいやすくなるので、平均足を使用してトレードをする場合は、だましを回避する必要があります。
平均足の手法が機能しない
だましが頻繁に発生する平均足は、平均足の手法が機能しません。
平均足の手法には一般的に下記のようなものがあります。
- 平均足の色変わりエントリー・決済する
- 平均足と中期・長期が揃ったらエントリー
- 逆髭で早めにエントリーする
しかし、だましが発生する平均足はこれらの手法が使えません。トレードが難しくなるため、だましを回避できる平均足を使用する必要があります。ちなみに、平均足の手法については下記のページでまとめていますので、興味がある方は、ぜひ参照してください。
平均足のだまし回避方法!5つのアイデア
次に、平均足のだましを回避する方法を5つご紹介します。この方法を知ることで、だましを回避した平均足で快適にトレードができるようになるので、ぜひ参考にしてください。
無料のインジケーターを使用する
1つ目は、無料のインジケーターを使用してだましを回避する方法です。
日本のFX口座が提供するトレードツールを使用している場合、オリジナルのインジケーターを使用することができないため、この方法は選択できません。しかし、普段のトレードでMT4やTradingViewを使用している方は、オリジナルのインジケーターを入れることができます。公開されているインジケーターの中には、無料のものもあり、それを活用して平均足のだましを回避することが可能です。下記のページでは、平均足のだましを回避するインジケーターを無料で配布していますので、ぜひ参考にしてください。
【MT4】
【MT5】
【TradingView】
しかし、無料のインジケーターで平均足のだましを回避する際の注意点としては、精度が高くないことです。例えば、髭が忠実に再現されていなかったり、自分で調整したりする必要があります。そのため、効率的にだましを回避できる平均足を導入したいという方は、これから紹介する『平均足スムーズドを使う』をチェックしてみてください。
平均足スムーズドを使う
2つ目は、平均足スムーズドを使う方法です。
平均足スムーズドは、通常の平均足を平滑化しているインジケーターを意味します。簡単にいえば、通常の平均足よりも滑らかに描画されているため、色変わりがしづらく、だましを回避できるように作れたインジケーターです。実際に見たほうがわかりやすいと思いますので、下記にMT4とMT5、TradingViewの平均足スムーズドを画像で表示しています。
【MT4】
MT4平均足スムーズドの詳細:https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/44985
【MT5】
MT5平均足スムーズドの詳細:https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/44838
【TradingView】
TradingView平均足スムーズドの詳細:https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/44988
画像を見ればわかるように、標準の平均足よりも平滑化されており、色変わりが起こりづらくなっています。平均足スムーズドは、トレンド中に色変わりが起こりづらいため、だましを回避することができる仕様です。
また、髭が忠実に再現されているため、『逆髭でエントリーする』など平均足の手法も機能しやすいという特徴があります。そのため、平均足の手法を使ってトレードしたいという方には必須のインジケーターといえるでしょう。
さらに、平均足スムーズドの中には、平均足の中期と長期が内蔵されているものもあります。平均足の中期・長期付きのものを使用すれば、上位足のトレンドを確認しながらエントリーすることができます。例えば、平均足の有名な手法として、『平均足スムーズドと平均足の中期・長期の色が揃ったらエントリーする』というものがありますが、中期・長期付きの平均足スムーズドを使えば、すぐにそのような手法を実践することができるのでおすすめです。
だましを回避した平均足を開発する
3つ目の方法は、だましを回避した平均足を開発することです。
MT4やTradingViewはインジケーターを独自に開発してそれをチャートに適用させることができます。そのため、プログラマ経験がある方などは、自身で開発して平均足スムーズドのようなインジケーターを開発することができるかもしれません。
しかし、この方法の注意点としては、プログラムに精通していないと開発ができないという点です。MT4やTradingViewなどプラットフォームにかかわらず、インジケーター開発には本格的なプログラミング言語を駆使して制作していく必要があります。また、MT4やTradingViewで使用されているプログラミング言語は非常にマイナーな言語です。そのため、インターネット上にも情報が少なく、プログラムの概念や一般的なプログラミングの知識がない人にとっては非常にハードルが高いでしょう。
基本的にだましを回避できる平均足を開発するよりもすでに公開されているインジケーターを使用するほうがおすすめです。開発には時間がかかりますし、その間はFXトレードを学ぶことができなくなってしまいます。基本的にトレードをするためにFXを始めたという方が多いと思いますので、効率的な選択肢を選ぶのがおすすめです。
ボリンジャーバンドと組み合わせる
4つ目は、ボリンジャーバンドと組み合わせることです。
ボリンジャーバンドは、ボラティリティが発生するとバンドがエクスパンションし、ボラティリティが小さいとバンドがスクイズする特徴を持ちます。ボラティリティが激しいとトレンドが発生しやすく、逆にボラティリティが小さいときはレンジ相場になりやすいです。平均足はレンジ相場のときにだましが発生しやすいため、ボリンジャーバンドがエクスパンションしているときに平均足を使えば、だましを回避することができます。
例えば、下記の画像の白枠部分ではボリンジャーバンドがエクスパンションしています。
そのため、平均足が機能しやすいといえるでしょう。
しかし、平均足とボリンジャーバンドを組み合わせたとしてもすべてのだましを回避できるとは限りません。また、じりじり上昇するトレンド相場などでは、平均足のだましが発生しやすく、トレンド相場なのにだましに遭ってしまい決済してしまうというケースも非常に多いです。平均足は、レンジ相場以外でもだましが発生することは珍しくないため、その点には注意するようにしましょう。
ADXと組み合わせる
5つ目は、ADXと平均足を組み合わせて使用する方法です。
ADXは、トレンドの状態を区別するために使われる指標です。一般的に、10~50の数値が設けられ、この数値が高ければ高いほどトレンドが強いと判断されます。逆に、数値が低ければ低いほど、トレンドが弱いということになります。一般的に、ADXは40より高い場合はトレンドが強い、50より高い場合はトレンドが非常に強い、20よりも低いときはトレンドが弱いと判断されます。
平均足をうまく機能させるためには、レンジ相場で使用しないことが求められます。そのため、ADXの数値が高いときだけ平均足を使用すれば、自然にレンジ相場を避けることができるため、だましを回避することができるというわけです。
しかし、ボリンジャーバンドを活用する方法でも紹介したように、レンジ相場以外でも平均足はだましが発生するケースがあるため、その点には注意するようにしましょう。
まとめ
今回は、平均足のダマシを回避する方法を具体的に解説しました。平均足のだましをできるだけ回避したいという方は、平均足スムーズドを活用するのがおすすめです。
平均足スムーズドは、一般的な平均足よりも平滑化されているため、だましの発生確率が大幅に低くなっています。また、平均足スムーズドの中には中期・長期付きのものもあります。そのような平均足スムーズドを使用するとトレンド方向に沿ってエントリーすることができるため、非常に有利なトレードをすることができます。まだ、使用したことがないという方は、ぜひトレードの中で活用してみてはいかがでしょうか?