『エリオット波動は結果論じゃない?』このように思っている方も非常に多いと思います。
特に、波のカウント方法は一人一人のトレーダーで異なり、非常に主観的になります。例えば、1波のカウント方法はそれぞれのトレーダーで変化してくると思います。
また、チャートパターンも同様ですが、教科書のような綺麗な波がリアル相場で形成されることは少ないです。
このように、エリオット波動は使えない、結果論だという方もいるかもしれませんが、エリオット波動なしにFXで正しく環境認識を行うことはできません。今使えない方は、実践的なエリオット波動の使い方ができていないからうまくいかないだけです。
そこで、今回はFXでエリオット波動がなぜ使えないのかを解説した上で、エリオット波動を使ったチャート分析方法を紹介します。興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
エリオット波動とは?

エリオット波動とは、相場の価格変動には一定のパターンがあり、それを5つの推進波と3つの修正波で構成される「波」として捉える理論です。1930年代にラルフ・ネルソン・エリオットによって提唱され、現在でもFXや株式市場でテクニカル分析の一つとして利用されています。
エリオット波動の理論を簡単に言うと、「相場(チャート)の動きには一定のリズムがあり、5回の上昇と3回の下落でひとつのサイクル(周期)ができている」という考え方です。
言葉で説明しても難しいので、下記画像がエリオット波動と考えていただければ問題ありません。

エリオット波動の基本は「5つの波」と「3つの戻り」
エリオット波動は、相場の動きを「トレンドに沿った5つの波(推進波)」と「一時的な逆方向の3つの波(修正波)」に分けて考える分析方法です。
例えば、上昇トレンドの際には「1上げ→2下げ→3上げ→4下げ→5上げ」と5つの波で上昇し、次に「1下げ→2上げ→3下げ」と3つの波で下落する「上昇5波→下降3波」のパターンで動くのが特徴です。
なお、下降トレンドの際には逆となり「下降5波→上昇3波」のパターンになります。
また、推進波の中でも特に大きく動く波(1・3・5波)は「アクション波」と呼ばれ、途中で少し止まったり戻ったりする波(2・4波)は「リアクション波」と呼ばれることもあります。
中でも3波目は、もっとも大きな動きになることが多く、トレンドの中心となる重要な波です。
さらに、エリオット波動には次のような3つのルールがあります。これらを守っているときに、エリオット波動の形がきれいに見えることが多く、FX初心者が最も狙いたい場面となります。
1.3波は、1・3・5波の中で一番短くなってはいけない

2.2波は、1波の始まりより下にはならない(下回らない)

3.4波は、1波の終わりより下にならない(重ならない)

エリオット波動のエクステンションとは?
エリオット波動は、通常1・3・5波はそれぞれ同じくらいの長さになることが多いですが、相場によっては1波、3波、または5波のいずれかが極端に長くなることがあります。このような波を「エクステンション(延長波)」と呼びます。
エクステンションが現れると、相場に大きな動きが出るサインとも取れます。しかし、メリットだけではないのです。
例えば、形が複雑になりやすかったり、波のカウントが難しくなったりとエリオット波動をカウントする際の難易度が上がります。
特にFX初心者にとっては難易度が上がり、正しくカウントできなくなることから、「エリオット波動は結果論」「使えない」となる原因にもなるのです。
エリオット波動が使えないと言われる5つの理由

この見出しでは、よく聞く「エリオット波動が使えない」と言われる理由について、5つ紹介します。
正しい波のカウントができてないから
正しい波のカウントができていないと、当然エリオット波動は使えないと感じてしまいます。
エリオット波動では、相場の動きを「1波→2波→3波」と数えていくことが基本ですが、その中でも「どうなったら1波が形成されるのか?」がわからないと、全体の分析もズレてしまいます。
特にFX初心者は、ただ単に上昇が続いているところを1波と判断しがちです。しかし、それだけでは間違ったエリオット波動を数えている可能性もあるため、正しい波のカウントは必要不可欠となります。
エリオット波動を活用したリアルトレードは、下記でも解説しているのでそちらも参考にしてください。

主観的な判断でカウントしているから
エリオット波動は「この動きが1波っぽい」といった感覚的な判断に頼りがちです。
そのため、トレーダーによって全く違う波のカウントになることがあり、「本当に正しく分析できているのか?」と疑問が出てきます。
自分だけが「この波は1波だと思う」感覚は、他のトレーダーから見ると1波ではないかもしれません。主観的な判断でカウントしていると分析がズレてしまうことが多くなるため、正しい分析ができるよう経験を積む必要があります。
波のカウントができない相場状況だから
そもそもエリオット波動は、明確なトレンドが発生し始めないとカウントすることができません。
そのため、トレンドが発生していないレンジ相場では、1波と思っても全くの見当違いだったとなるケースも少なくありません。
自分では正しくカウントできているように見えても、見当違いのことをしていると「エリオット波動は使えない」と感じてしまいます。
見ている時間軸によっても変わるから
エリオット波動は、見ている時間軸によっても見え方が変わることがあります。
例えば、1時間足で上昇3波が狙える波形に見えても、4時間足や日足レベルでは下降トレンドとなっているケースもあります。
基本的には上位足が優先されるため、1時間足で上昇3波を狙ったのに、全く機能しなかったと言って、「やっぱりエリオット波動は使えない」と感じてしまうこともあるのです。
エリオット波動は、ひとつの時間軸だけの分析ではなく、全体を見て機能するか判断しなければ機能しなくなることも多くなります。
そもそもFX初心者には難易度が高いから
先ほども紹介しましたが、エリオット波動は相場全体の分析をすることで機能するかどうかが見えてきます。
FX初心者はそもそもチャート分析のやり方もわからない、上か下か当てているだけの人が多く、始めたばかりの人がいきなりエリオット波動を使えるようになるかというと難易度は高くなるでしょう。
特にいきなり実践で使おうと思っても、どこが1波になるのかわからず、間違ったポイントでエントリーをして損切りされてしまう可能性が高くなります。
そのため、まずは正しい方法で分析できるようになることが大切です。
下記の「Toshiのテクニカル講座最新版」では、機能するエリオット波動について詳しく紹介しています。FX初心者でもマスターすればすぐ実践で使えるようになるので、マスターしたい方は参考にしてください。

エリオット波動が使えない人に向けた対策方法

エリオット波動は使えないといわれますが、決してそのようなことはありません。正しく相場の中で活用できれば、確実にトレードで役立ちます。
ここでは、エリオット波動が使えないと感じる人向けに、具体的な対策方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
実践的な知識や経験は必要不可欠
教科書に書かれたエリオット波動の知識だけでリアル相場に立ち向かうことは難しいです。一般的なエリオット波動の内容は、あまり意味がなく、リアル相場で使うためには、より実践的な知識を身に付けなければなりません。
例えば、「エリオット波動は何を基準に1波と見るのか」、「それぞれの波でどのような特徴があるのか」、「エリオット波動を用いたエントリー・利確・損切り位置」など、これらの知識は教科書にはあまり載っていないものです。
このような知識は自分で実践しながら学んでいくか、それとも経験のあるトレーダーから直接学ぶしかありません。どちらが良いのかについては、それぞれの人で異なると思いますので、自分も適したほうを選択しましょう。もし筆者である私から学びたいという人は、まずは鉄板エントリーパターン集を読んで、基礎知識が身に付いたらToshiのFX極秘手法を入手するようにしてください。


取引量が多い通貨を選ぶこと
取引量が多い通貨は流動性が高く、波形が綺麗になりやすいです。そのため、エリオット波動も機能しやすいでしょう。
例えば、ドル円などのドルストやゴールドなどは取引量が多いです。一方、AUD系やNZD系は取引量がメジャー通貨に比べて限定されます。
「いやいや、ドル円でもエリオット波動機能しないよ?」と思われる方もいると思いますが、たしかに取引量が多い通貨でも機能しないことは全然あります。その場合は、できるだけ取引の多い時期・時間帯だけトレードするのがおすすめです。例えば、東京や欧州、ニューヨークなど市場に合わせて取引したり、お盆などの閑散期はトレードを控えたりするとエリオット波動が使えないという悩みを解決できる場合があります。
必ず機能すると思わないこと(他の手法と組み合わせる)
エリオット波動以外にもいえる話ですが、勝率100%の手法はありません。専業トレーダーでも勝率の高い人で60%ぐらいであり、100%の勝率を維持できる人はいません。
エリオット波動という理論も完全ではなく、相場状況や通貨ペアによっては機能しないことは当然あるのです。1回機能しないだけで「使えないな」となりがちですが、それではサンプル数が足りなさすぎるので、ある程度、リアルトレードの中で活用してみてどのぐらいの勝率があるのか、お金はどれだけ増えてどれだけ減るのかを自分で記録する必要があります。
また、エリオット波動だけで勝率が安定しないという人は、エリオット波動のほかにも根拠を複数持つことが重要です。そうすることで、勝率が確実に高くなるので、エリオット波動が機能する場面だけをエントリーできるようになります。
まとめ
今回はエリオット波動が使えない理由やそれを改善するための対策方法について詳しく解説しました。上記でも解説したように、エリオット波動は100%機能する理論ではありません。
そのため、「結果論だ」、「こじつけだ」となってしまいがちですが、私も含めエリオット波動でトレードをして勝ち続けているトレーダーはたくさんいます。
エリオット波動のトレードがうまくいかないという人は、今回紹介した対策方法を確認して、トレードを改善していくようにすると、エリオット波動が使えない状態から活用しないとトレードできないというまでに変わる可能性があります。



